高齢者向け住宅で対応できる医療的ケアとは?医療依存度からの選び方

公開日:2023/06/15


高齢者向け住宅では、医療的ケアを必要とする人が存在し、看護師や介護職員が対応しています。中でも、日常的に医療的ケアが必要な人は医療依存度が高いとされ、入所する施設を慎重に選ばなければなりません。この記事では、高齢者向け住宅で対応できる医療的ケア、医療依存度による介護施設の選び方を解説します。

そもそも医療的ケアとは

医療的ケアとは、病気を持つ人が日常生活を営めるようにサポートする医療行為を指します。医療的ケアにはさまざまな種類があり、体温や血圧の測定、服薬介助、喀痰吸引、経管栄養などです。体温や血圧の測定などの簡単なケアは介護職員でも対応できますが、喀痰吸引や経管栄養は看護師や研修を受けた介護福祉士でないと行えません。では、高齢者向け住宅でも対応可能な医療行為とは何か、解説しましょう。

高齢者向け住宅で対応可能な医療行為

高齢者向け住宅で対応可能とされる医療行為はいろいろあり、受けた研修や保有する資格によって、対応可能な医療行為は変わります。資格別に対応可能な医療行為を紹介しましょう。

介護職員が対応可能な医療行為

介護職員は体温測定や血圧測定、脈拍の測定、血中酸素飽和濃度の測定といった、簡単な医療行為であれば対応が可能です。測定には注意点があり、自動血圧測定器やパルスオキシメーターで行う必要があります。

これは、正しい知識をもって適切に実施しなければ、過度な加圧による内出血を起こしたり、正しく測定できなかったりするためです。介護職員はこのほかにも、軽度の切り傷や擦り傷・やけどの処置、湿布薬の貼付、目薬の点眼、坐薬の挿入、一包化された内服薬の服薬介助、鼻腔粘膜への薬剤の噴霧も、対応可能とされています。

研修を受けた介護福祉士が対応可能な医療行為

研修を受けた介護福祉士は、介護職員が対応可能な医療行為に加えて、喀痰吸引や経管栄養が対応可能です。喀痰吸引とは、専用の器具を使って、口腔内および鼻腔内にカテーテルと呼ばれるチューブを挿入し、痰や唾液を吸引する医療行為のこと。痰や唾液を自力で排出できない人に、喀痰吸引を1日に数回、定期的に実施することで気道を確保し、窒息や誤嚥性肺炎を予防します。この際、カテーテルが粘膜を傷つけるおそれがあるため、気をつけて処置する必要があるのです。

一方、経管栄養とは、自力で食事することが難しい人の胃にカテーテルを挿入し、栄養剤を注入する医療行為のこと。胃のほかにも、腸や鼻にカテーテルを挿入する方法があり、それぞれ胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養と呼ばれます。喀痰吸引と経管栄養は、介護と医療との連携が整っていて、なおかつ、本人や家族へ説明した上で、同意が得られた場合に対応が可能です。

看護師が対応可能な医療行為

看護師は、研修を受けた介護福祉士が対応可能な医療行為に加えて、インスリン注射、人工呼吸器の管理、在宅酸素療法、中心静脈栄養、褥瘡の処置、ストーマケア、導尿およびバルーンカテーテルの管理が対応可能です。

インスリン注射は、糖尿病の治療法のひとつで、注射を用いて1日に数回、血糖値を下げるインスリンを注入します。人工呼吸器の管理は、肺や心臓などに病気のある人が、必要に応じて日常的に人工呼吸器を使用する場合があり、看護師がその管理をすることです。

呼吸に関する医療行為には、在宅酸素療法も存在します。自宅や施設に専用の機械を設置して、酸素を吸入する医療行為で、機械と鼻にあるチューブを接続し、直接酸素を吸入することで、慢性心不全や慢性呼吸不全などの人の呼吸を補助します。点滴を用いて栄養などを補給する中心静脈栄養は、病気によって口から栄養を摂ることが難しい人や消化官の機能の低下によって長期間の点滴での摂取が適切とされた人などに求められる医療行為です。心臓近くの太い静脈に高濃度の輸液を注入します。

褥瘡の処置とは、寝たきりの人が長時間同じ姿勢を続けたことにより起こる、ただれや傷、つまり褥瘡を治療する行為です。褥瘡は床ずれとも呼ばれ、症状が悪化すると壊死することもあります。人工肛門・人工膀胱であるストーマケアも基本的に看護師の仕事です。基本的とするのは、医療機関から適切な指導を受ければ介護職員も行えるからです。ですが、排泄物を受け止めるパウチの交換や装具の皮膚への貼り付けの際に、感染症や皮膚トラブルが起こった場合、看護師の処置を必要とします。

導尿およびバルーンカテーテルの管理とは、排尿障害を抱える人が行っている、自己導尿やバルーンカテーテルなどのケアを指します。自己導尿とは、入所者が自主的に尿道から膀胱にカテーテルを挿入し、トイレで排尿する方法です。入所者は看護師から自己導尿を事前に教わる必要があります。一方、バルーンカテーテルは、医師や看護師が尿道から膀胱までカテーテルを挿入し、蓄尿袋に排尿する方法です。自己導尿はトイレに行くたびにカテーテルを挿入するのに対し、バルーンカテーテルは常時カテーテルを挿入し続ける特徴があります。

医療依存度による介護施設の選び方

高齢者向け住宅に入所するには、医療依存度に応じた施設選びが大切です。高齢者向け住宅は、一般型と介護型が存在し、一般型は介護職員が常駐している一方で、看護師の配置義務はなく、夜間の常駐義務もありません。介護型は、介護職員の24時間常駐義務のほか、看護師の常駐、夜間の常駐義務もあります。

近年は、高齢者向け住宅でも看護師が24時間常駐することで、医療依存度が高い人の受け入れを可能とする施設も増えました。しかし、対応可能な医療行為は、施設に配置される人員体制によるため、入所を検討する際には必ず確認を取りましょう。

まとめ

ここまで、高齢者向け住宅で対応できる医療的ケア、医療依存度による介護施設の選び方を解説しました。高齢者向け住宅で対応できる医療的ケアは、配置される人員の体制によって異なり、医療依存度に応じて施設を選ばなくてはなりません。日本は医療へのアクセスと質を評価する指標、HAQインデックスにおいて、世界11位とまずまずの成績を収めました。そして日本は世界一の長寿国でもあり、進歩した医療と国民皆保険制度などで支えられています。人生100年時代が提唱されて久しくなりました。適切な医療的ケアを受けながら、高齢者向け住宅で第二の人生を楽しむのはいかがでしょうか。

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