高齢者向け住宅の分譲と賃貸の違いとは?解説します!
最近、注目されている「高齢者向け住宅」は自立した生活が可能な高齢者に適した施設で、大きく、賃貸型の「サービス付き高齢者向け住宅」と分譲型の「シニア向け分譲マンション」の二つに分かれます。
提供されるサービスも多様化しており、どちらにも共通点があります。本記事では、両者の特徴をまとめ、どんな人に向いているのか、詳しく解説します。
高齢者向け住宅とは?
高齢者向け住宅とは簡単に言うと「高齢者に配慮した、または高齢者専用の住宅」です。有料老人ホームとは異なり、保証されるのは住宅に居住する権利のみです。契約者は介護や食事など、自分が欲しいサービスを別に契約する必要があります。
有料老人ホームはそこに「入居」し、生活に関するサービスを丸ごと受けることになりますが、高齢者向け住宅は、自分で受けるサービスを選択することになりますので、自由度が高いところが特徴です。
また物件ごとに、賃貸なのか、分譲なのか、どんな居住スペースなのか、提供されるサービスや共有スペースなども実に様々ですので、自分はどんなサービスを必要としているのかよく把握してから選ぶことが必要です。
サービス付き高齢者向け住宅(高齢者向け賃貸住宅)とは?
「サービス付き高齢者向け住宅」とは、高齢者を対象とした賃貸住宅を指します。家賃、広さ、間取り、設備、付帯サービスの有無など、特に定義があるわけではないので、物件によってさまざまです。条件をしっかり比較、検討する必要があります。
また、サービス付き高齢者向け住宅には、自立から要介護者まで入居が可能で、介護サービスに関しては必要に応じて個別契約できる「一般型」と、要介護者を対象とし、配置されたスタッフから介護保険法の基準に沿ったサービスを定額で受けられる「介護型」の2種類が存在します。
費用
サービス付き高齢者向け住宅の費用は、初期費用と月額費用の2種類が必要です。
一般型は、初期費用が数十万円と比較的安価に設定されています。通常の賃貸住宅とは異なり、礼金や更新料は不要となります。
一方介護型は、礼金や更新料は一般型と同じく不要となりますが、有料老人ホームと同様「利用権の契約」となるため、前払いで家賃が数十万必要です。この家賃は物件によってかなり幅があるので、数千万円必要なケースもあります。
月額の費用は、一般型の場合は家賃や管理費込みの相場が5万円〜25万円程度で、食費や光熱費等は別途支払いとなります。一方介護型は、食費も光熱費も含まれるので、15万〜40万円ぐらいです。
受けられるサービス
サービス付き高齢者向け住宅では、最低限のサービスとして、スタッフが定期的に訪問する「安否確認サービス」と、常駐している介護福祉士や看護師に困りごとなど相談できる「生活相談サービス」を設けることが規定されています。
食事の提供や掃除洗濯などの身の回りの世話や、外出の付き添いなどをしてくれる「生活支援サービス」は多くの施設で提供されている人気のサービスです。
また、介護度が高い方は、リハビリや医療行為、入浴や排泄の介助を外部の訪問介護サービスと契約するのが一般的です。
その他、集団でのレクリエーションを定期的に行っていたり、看護師や協力医と連携して看取りサービスを提供している施設もあります。
入居条件
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の高齢者、または要介護者認定を受けた60歳未満の方が入居対象となっています。
細かい入居条件は施設によってさまざまですが、一般型では「自立した生活ができる」「認知症ではない」などが条件である場合が多いので、介護度の高い方や認知症の方は介護型を選択するのが良いでしょう。
また、配偶者、60歳以上の親族、要支援・要介護認定を受けている親族、その他特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者は同居が可能です。
忘れてはいけないのが連帯保証人と身元引受人です。ほとんどの施設では、入居の際に必要となります。頼める人がいない方は、高齢者住宅財団が実施している家賃債務補償制度の利用が可能です。
ないようであるのが入居条件です。よく確認しておきましょう。
こんな人におすすめ!
サービス付き高齢者向け住宅には「ある程度自立している(要介護2くらいまでを目安に)」「特に食事や入浴は介助なしでできる」「基本的には元気で自由に出歩きたいが見守りがほしい」という方におすすめです。
「コスト面を自分で工夫したい」という方にも向いています。
シニア向け分譲マンション(高齢者向け分譲住宅)とは?
「シニア向け分譲マンション」とは、高齢者が生活しやすいように配慮された分譲住宅を指します。基本的には民間事業者が販売や運営を行っています。
バリアフリー化が行き届いていたり、見守りサービスや緊急時の対応など、細かな生活支援サービスが整っているのが特徴です。
通常の分譲マンションと同じく、共有スペースが用意されているのも魅力です。高級なマンションになると、フィットネスジムやシアタールームなど遊興施設が併設されている場合もあります。
費用
シニア向け分譲マンションは、高齢者が暮らしやすいよう、通常の分譲マンションよりも格段に設備やサービスが充実しているため、費用はかなり高額になります。新築で数千万〜数億円、中古でも数千万と考えておいたほうが良いでしょう。
住宅ローンの利用が可能な物件もありますが、返済完了時の上限年齢には要注意です。また、購入したあとも、月額費用が10〜30万円ほど発生しますので、そのことも考慮して購入を検討する必要があります。
受けられるサービス
多くのシニア向け分譲マンションで、基本として提供されるサービスは、生活支援サービスのみになります。どの物件も、スタッフが24時間常駐していて緊急時に対応してくれたり、健康相談や買い物代行などを行ってくれる場合がほとんどなので、それだけでかなり充実した住環境が用意されていると言えます。
それ以上の、例えば介護サービスや医療サービスを利用するには、外部の事業者と自分で契約する必要がありますが、施設内で医療や介護サービスを受けられる物件や、その他ユニークな付帯サービスがある物件も存在します。入居前によく確認しておきましょう。
あらかじめ用意されているサービスは少ないですが、カラオケやプール、フィットネスジムなどの施設が充実しているのが魅力です。また、基本的には分譲マンションですので、自炊や外出を楽しんだりするのは自由です。プライバシーにもしっかりと配慮されています。
さらに住みやすくリノベーションも可能で、賃貸や売却も契約者の自由です。資産として相続することも可能ですよ。
入居条件
シニア向け分譲マンションの入居対象者は「自立した生活が送れる高齢者」となりますが、年齢制限等は各物件によって異なります。独自の基準がある場合もありますので、自分の状態や希望に沿った物件を探すと良いでしょう。
要介護認定を受けている方の受け入れを行なっている物件もあります。ただその場合、介護サービス等は自分で外部事業者と契約する必要があります。
こんな人におすすめ!
シニア向け分譲住宅は「なるべく自由に今まで通り暮らしたい」「でも見守りがほしい」「緊急時に対応してくれる人が近くにいてほしい」「資産として所有権を保有したい」という方におすすめです。
確かに高額ですが、将来的なに資産として運用することも可能なため人気が高いのがシニア向け分譲住宅です。良い物件を見つけたら、早急に入居を検討すると良いでしょう。
まとめ
「サービス付き高齢者向け住宅」と「シニア向け分譲マンション」、賃貸と分譲という他にもさまざまな違いがありました。高齢者に配慮した工夫が凝らされた住居であるというところは共通ですが、契約者本人の希望や条件によって向き不向きがあります。
どちらもなるべく自立して、自由に老後を過ごしたいという高齢者に適した住宅です。ご自身はもちろん、ご家族の希望や条件も視野に入れて、本当に合った物件を選ぶことをおすすめします。