高齢者の一人暮らしの割合とは?リスクを回避するための対策を解説
日本における高齢者の一人暮らしは増加傾向にあり、独立した生活が続けられる一方で、さまざまなリスクをともないます。本記事では、高齢者の一人暮らしの現状と、それにともなうリスクを回避するための具体的な対策を詳しく解説します。家族が安心して暮らすための方法をチェックしましょう。
高齢者の一人暮らしの実態
現在、日本には一人暮らしをしている高齢者が約670万人以上もいます。男性は230万人以上、女性は440万人以上で、女性のほうが圧倒的に多いのが特徴です。
この数字は今後も増加し、2040年には一人暮らしの高齢者が約900万人に達すると予想されています。また、高齢者全体の中で一人暮らしをしている割合は、男性が15%、女性が22%に達しており、特に女性の一人暮らしが増えています。
一人暮らし高齢者の生活実態
一人暮らしをしている高齢者の多くは、日常生活に不安を感じています。内閣府の調査によると「健康や病気のこと」が心配な高齢者は58.9%、「寝たきりや介護が必要になること」を不安に思う人は42.6%に上っています。
また、孤独を感じる人が多く、50.8%の一人暮らし高齢者が「孤立死」を身近な問題として感じていると答えているのです。
近所の人との交流が少ない
近所の人との交流が少ないことも課題です。一人暮らしの高齢者の多くは、近所の人と「ちょっと立ち話をする」ことが少なく、友人・仲間との付き合いも少ないと感じています。
これらは精神的な負担や孤独感を引き起こし、生活の質に影響を与えています。
高齢者が一人暮らしをするうえでのリスク
高齢者が一人暮らしをすることで、さまざまなリスクが生じる可能性があります。年齢を重ねるにつれて体調や生活環境に変化が生じるため、注意が必要です。
ここでは、一人暮らしの高齢者にとっての主なリスクを紹介します。
病気やけがが発見されにくい
高齢になると、病気やけがをしやすくなります。家族や友人が近くにいない場合、体調の変化に気づくのが遅れることがあります。
たとえば、転倒や急な体調不良があった際、すぐに助けを呼べないと大きな問題に発展することもあります。
認知症の進行
認知症は進行するにつれて、日常生活に支障をきたすことがあります。とくに一人暮らしでは、周囲との関わりが少ないため、認知症の兆候に気づかれにくいことがあります。
薬の管理ができなくなったり、家事ができなくなったりすることがあり、その結果として生活の質が低下する恐れがあります。
孤独死のリスク
孤独死は、高齢者の一人暮らしの大きなリスクのひとつです。転倒や誤飲などの不慮の事故で命を落とす場合もあり、発見が遅れることがあります。
助けを求めることができず、誰にも気づかれずに亡くなる可能性が高くなるのです。
犯罪に巻き込まれる可能性
一人暮らしの高齢者は、周囲との交流が少ないため、犯罪に巻き込まれやすくなることがあります。とくに、特殊詐欺のターゲットにされることが増えます。
家族がいれば、相談しやすく防犯意識も高まりやすいですが、一人暮らしの場合は注意が足りなくなることがあります。
災害時に対応できない
災害時、一人暮らしの高齢者は自分ひとりで避難するのが難しい場合があります。
地震や洪水などの大きな災害の際、周囲に助けを求めることができないと、非常に危険です。とくに、孤立した場所に住んでいる場合、そのリスクはさらに高まります。
リスクを回避するための実践的な対策と支援
高齢者が一人暮らしをする場合、さまざまなリスクが考えられます。しかし、適切な対策を講じることで、安心して暮らすことが可能です。
ここでは、リスクを回避するために役立つ対策と支援について紹介します。
生活支援サービスを利用する
高齢者の一人暮らしをサポートするために、生活支援サービスの利用が有効です。たとえば、食事の宅配サービスやヘルパーによる掃除や洗濯のサポートがあります。
また、見守りサービスを活用することで、遠くに住む家族が高齢者の生活をチェックでき、何かあったときに迅速に対応できるのです。これにより、急な体調不良や事故にも安心して対応できる環境を整えることができます。
介護サービスを利用する
介護が必要になった場合、介護保険を利用して自宅で支援を受けることができます。訪問介護やデイサービスを活用することで、身体的な負担を軽減し、日々の生活が楽になります。
また、ほかの人と交流することで、孤独感を減らし、認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。介護サービスは、心身の状態に応じて利用できるため、早めにサービスを導入することが重要です。
高齢者向け住宅に入居する
一人暮らしに不安を感じる場合、高齢者向けの施設に入居することもひとつの選択肢です。自由度の高い高齢者住宅は、プライバシーを守りながら必要なサポートが受けられる環境が整っています。
また、同じ住宅内のほかの高齢者との交流を通じて、助け合いの関係が築けます。看護や介護サービスが充実している施設では、災害時や急病時のサポートも受けられるため、安心して生活できるでしょう。
まとめ
高齢者の一人暮らしは年々増加しており、生活の独立性が保たれる一方で、さまざまなリスクがともないます。病気や怪我の発見が遅れたり、認知症の進行や孤独死の危険性が高まることが懸念されます。これらのリスクを回避するためには、見守りサービスや介護サービスの利用、また高齢者向け住宅への入居など、適切な対策と支援が必要です。安心して生活を送るためには、早期にこれらのサービスを導入することが重要です。